この調査のタイトルは’Contrasting responses to diversity: school placement trends 2014-2017 for all local authorities in England’。日本語訳すると「多様性への対比的対応:2014-2917年イングランド全自治体の就学措置の動向」であろうか。具体的には障害のある子ども(報告書では「教育・保健・ケア計画のある子ども(child with an Education Health and Care (EHC) Plan)、以前は「特別教育ニーズのある子ども)がどれだけ特別学校・機関に就学措置されている割合を自治体ごとに調べた報告書である。
以下、「まえがき」を紹介
動向シリーズのこの新刊へようこそ。 CSIE(Centre for Studies on Inclusive Wducation)は1980年代以降のイングランドのすべての地方自治体の就学措置の動向(つまり、特別学校または他の分離的環境に就学措置された子どもの割合)について報告してきた。 この報告書は2014年から2017年までの情報を示している。これによると、特別学校の全体の生徒数が徐々に増加していること、そしてまた以前の他の動向調査報告書と同様、多様性に対応する方法には地方自治体ごとに大きな違いがあることが分かる。
それ以前の他の動向調査報告と同様に、本報告書も生徒の経験に関するコメントや動向の説明はせずに(これらは本調査の範囲を超えているので)、さまざまな環境へ就学措置された生徒の割合を示すものである。
この報告書は障害のある子どもの権利と、障害のある子どもや若者のインクルーシブ教育の意味がより明確になったこの時期に発行されるものである。国連の障害者の権利に関する条約の第24条(教育)は、すべてのレベルでのインクルーシブ教育システムを求めている。私たちの最後の動向調査からしばらくして、同条約の実施状況を監視する国連の障害者権利委員会は、条約第24条をどのように理解し、実施すべきかを明確にするための一般的意見第4号を公にした。 それによると、インクルーシブ教育とは学校やその他の教育環境が個々の生徒の多様性に完全に対応できるように文化、政策、実践の変革を意味する。 インクルーシブ教育はすべての学習者の基本的人権として理解されるべきであり、それは彼らの固有の尊厳と自律を尊重し、そしてまた、他の基本的人権を実現する手段である。
最も重要なことは、委員会が排除、分離、統合、インクルージョンの違いを認識することの重要性を強調していることである。分離教育は 第24条ではまったく規定されていないが、一般的意見では、障害のない生徒から隔離された分離的環境での障害者の教育として定義されている。統合とは、障害のある生徒を既存の主流機関に措置し、これらの機関の要件にかれらが適応させようとするものである。 一方、インクルージョンはすべての生徒が公平で参加型の学習体験を持てるように、教育の内容、方法、アプローチ、構造、戦略の変更を伴う「体系的改革」の過程を意味する。これこそが権利委員会が強調する第24条のインクルーシブ教育の意味するものである。
より多くの障害のある生徒ためにインクルーシブ教育を広げるため学校の能力開発に関心を寄せている地方自治体と多様なアカデミー・トラストがCSIEが提供する「受け入れのための教本:あなたの自治体においてインクルーシブ教育を広げるための自己検証枠組み」に興味を抱いている。
<以下、略>
CSIE事務局長 Dr Artemi Sakellariadis
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