ポルトガルは2018年7月6日に、インクルーシブ教育を具体化する上で不十分さが目立ってきた法律を改正した。同法律は公私立学校関係者、教員団体・組合、教育研究団体、保護者団体、障害者団体と協力して、18ヶ月間の日数をかけて制定されたものである。
この新法ではすべての生徒への支援提供は通常学校の通常の教室で決定、管理、提供されることが義務付けられている。支援の内容については地域の学際的なチーム(multidisciplinary teams)が決定するが、同チームには社会への完全なインクルージョンを視野に入れて教育へのアクセスと効果的に参加する手段をもてるようにすべての生徒(障害のラベル、分類または認定があろうなかろうが)にって必要な支援を決定する責任が与えられている。
したがって、サラマンカ声明の精神にもとづき、また「すべてとはすべて意味する」をモットーに、機能障害、民族性、社会的/経済的地位に関係なく、必要な教育支援サービス(専門教育サービスを含む)がすべての生徒のために通常の学校で利用できる。その点で、「介入するためには分類する必要があるという論理的根拠には基づかない」を原則とする新法は、すべての人の普遍的なアクセスとインクルージョンに基づくパラダイムシフトを支援することを目的としている。
2018年法前文は 「学校の活動の中心はカリキュラムと生徒の学習である。 この考えのもと、本法はオリエンテーションの中心軸として、各学校が生徒の多様性という付加価値を認識し、その違いに対処する方法を見つけ、個々の生徒の特性と条件に合わせて教育過程を調整し、 誰もが教育共同体の生活において学習し、それに参加できるように自由に使える手段を動員する必要がある。」と規定している。
学習のためのユニバーサル・デザイン原則とカリキュラム・アクセスへの多次元アプローチに基づく新法の主な特徴は次のとおりである。
・学校は多様性を尊重するインクルーシブ学校文化を創造するための基本文書を作成する必要があ
る。
・ 学校総合委員会(school multi-disciplinary teams)がはすべての生徒の学習を支援するための対
策と戦略を明示し、評価し、調整するという主な機能を果たし、また、すべての生徒の個別学習
に対する障壁(環境を含む)を克服し、学校全体のレベルで学校文化とプロセスの変革の必要性
の認識を高める責任がある。
また、以下の新法の前文にあるように、必要に応じて外部の専門家の支援を受けながら個々の学校レベルでのインクルージョンの自律性と責任が強調されている。
「カリキュラムへの参加がより困難であると認定された場合でも、各生徒がカリキュラムと学習にアクセスできるようにし、一人一人の可能性の最大限まで引き上げるため、学校にはそれらを克服するための戦略の多様性を考慮し、生徒が直面する学習の障壁を特定する責任がある。」
「特製(customization)」の原則–生徒中心の、それぞれに異なる教育計画。これにより、以下で構成されるマルチレベルの段階的アプローチを通じて、特定のニーズ、可能性、興味、好みに応じて事例ごとに措置が決定される。
・普遍的措置–すべての生徒に適用される。
・選択的措置–普遍的措置の欠陥に対処するための措置で学校資源から調達される。
・追加的措置–専門的資源を必要とする、より重いコミュニケーション、相互作用、 認知または学
習の困難に対処するための措置で教室の教師を支援し、また、教師と共 同で教える学校外の専門
教師が含まれる。
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