コネチカット州の学校における食物アレルギー・糖原病管理指針

訳者注

2022年9月18日の時点では、全訳公開はできず、第4章までである。また、訳語の統一、語句説明など不十分な点がある点をお詫びし、おいおい修正を加えることにしたい。

必要のある方はファイルでお送りすることができます。viasaltati2@gmail.com



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コネチカット州の学校における生命の危機をもたらす食物アレルギー管理指針(糖原病管理指針を含む


目次

はじめに                                4

謝辞                                  5

指針の概要 7

学校教育プログラムでよく使用される略語と慣用句             8

第1章 学校関係者(school personnel)の教育と訓練            9

食物アレルギーとは

アナフィラキシーとは

アナフィラキシーの治療とエピネフリンの使用

自動注射器(an auto-injection)の使用方法

生命を脅かす食物アレルギー反応への対応手続き (procedures for responding)

糖原病(GSD)とは何ですか?

糖原病の原因

糖原病の症状

糖原病の治療

<参考資料> .

第2章 食物アレルギーおよびGSDの管理計画 20

緊急時ケア計画(ECP)

個別保健計画(individualized health care and action plans)

食物アレルギーと GSD に関する学区(school district)全体の管理計画策定過程

学区の計画と手続きの有効性の監視 

学校職員による食物または栄養補助食の提供 

第3章 食物アレルゲンとの接触(exposure)(訳注①) を防ぐための手順        29

特定食物の禁止


*訳注① Exposureの訳語として「暴露」という漢字が当てられているようだが、あまり馴染みがないし、また意味分りにくいのでここでは「接触」としておく。

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適切な食事場所 .

医薬品の管理

食物アレルゲンとの接触を防ぐための手順

コミュニケーション計画.

第4 章- 生命を脅かす食物アレルギーまたは糖原病を持つ生徒の特定と評価の訓練  35

学校看護師

学校関係者

親および地域社会のパートナー

生徒

第5章 1973年リハビリテーション法第504条、障害者教育法(20 USC 1400 et seq)、障害のあるアメリカ人法(42 USC 12101 et seq. )                 38

OCRへの苦情申し立て方法

CSDEの「例外のある生徒の教育に関するCSDEの見解(Position Statement )」2012年

1973年リハビリテーション法第504条.

参考資料

第6章 付録                                 52

付録 A - コネチカット州の無免許学校関係者のための年次エピネフリン訓練プログラム

付録 B - 州および連邦の法律

付録C - 推奨される役割と責任

付録D - よくある質問

付録E -学区全体の方針を策定し、実施するためのステップ.

付録F - 一般的な参考資料と資源

コネチカット州教育省(the Connecticut State Department of Education)は資格のあるすべての人に機会均等/積極的是正措置(affirmative action)の方針を約束しています。 コネチカット州教育省は人種、肌の色、宗教的信条、性別、年齢、出身国、祖先、婚姻状況、性的指向、性同一性または表現、障害(知的障害、精神障害の過去または現在の履歴、身体障害または学習障害などに限定されないあらゆる障害を含む)、遺伝情報若しくはコネチカット州および/または連邦の無差別法によって禁止されているその他の根拠に基づいて、雇用慣行、教育計画、教育活動に関して差別をすることはありません。

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はじめに

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コネチカット州教育省(CSDE)は州公衆衛生局(DPH)と協力して、コネチカット州の学校における生命を脅かす食物アレルギーの管理指針(糖原病管理指針を含む)を作成しました。コネチカット州の公立学校区および(コネチカット一般法[C.G.S.]の第10章第217条a項に従っている)非公立学校が、生命を脅かすアレルギー状態および糖原病(GSD)の生徒の健康と安全上のニーズを効果的に満たすことを目的としています。

したがって、C.G.Sの第10章第212条c項(b)で規定されているように、各地方および地域の教育委員会 (訳注②)は次のことを行わなければなりません。

  •管轄下の学校に在籍している生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDの生徒の管理のた        めに、これらの指針に基づいた計画を実施する。

  •教育委員会はこうした計画をそのウェブサイトまたはその管轄下にある各学校のウェブ  サイトで利用できるようにするか、そうしたウェブサイトが存在しない場合は、教育委員会が決定した他の実行可能な手段を通じて公開するものとする。

•第10章第231条c項(b)で規定されているように、親/保護者には年次書面による声明を送り、併せてその計画を通知する。

注:この文書ではエピネフリンの投与について説明する場合、「エピネフリン自動注射器」という用語を使用します。学校では一般的にエピぺン(Epi Pen)として知られています。

この計画は学区の方針と手順に採用される可能性があります。 学区全体の計画を指針として使用して、各学校は食物アレルギーとGSDを持つすべての生徒を特定する過程を明らかにし、各生徒の個別の医療と行動計画を作成して実施する必要があります。

この文書は生命を脅かす食物アレルギーに焦点を当てていますが、深刻なアレルギー反応とアナフィラキシーの治療は食物、虫刺され、ラテックス、または運動誘発性のいずれによって引き起こされた場合でも同じです。


訳注② コネチカット州には149の地方(local)学区と17の地域(regional)学区と教育委員会があるがどこがlocal なのかregional なのかが不明。


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謝辞

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これらの指針はもともと2006年に作成され、その後、2012年にコネチカット州全体の学校で生命を脅かす食物アレルギーを持つ生徒のケアを確保することに取り組んでいる主要な組織、医学界、個人の協力により改訂されました。貢献者は多数いらっしゃいます。これらの個人および組織は以下のとおりです。

• Stephanie G. Knutson, Ed.D, MSN, RN, コネチカット州教育省(CSDE)企画マネージャー

• Janene Batten, MLS, AHIP, エール大学キャシング・ウィットニ―医学図書館司書

• Susan Fiore, MS, RD, コネチカット州教育省教育コンサルタント

• Joan Foland, HS, MPhil., コネチカット州公衆衛生省(DPH)ゲノミクス部(Genomics Office,)

• John D. Frassinelli, MS, RD, コネチカット州教育省局長(Bureau Chief)

• Pat Krin, MSN, APRN, BC FNP, コネチカット州学校看護師協会

• Kathy Larew, MBA, 親、食物アレルギー・アナフィラキスネットワーク

• Louis Mendelson, MD, コネチカット喘息・アレルギーセンター、コネチカット大学医学部小児科臨床教授

• Rob Nolfo MD, FAAP, ギルフォード小児医院小児科医、ギルフォード公立学校医療アドバイザー

• Cheryl Resha, Ed.D, MSN, RN, FNASN, 南コネチカット州立大学 准教授

• Nadine Schwab, BSN, MPH, PNP, ウエストポート公立学校、保健サービス担当スーパーバイザー

• Martin W. Sklaire MD, FAAP 米国小児科学会コネチカット州支部学校保健委員会委員長、イェール大学医学部小児科臨床教授

• Rhonda Riggott Stevens, MA, 教育専家・親(Professional Educator and parent)

• Nancy A. Wheeler, RS, コネチカット州公衆衛生州食物保護プログラム担当

また、本マニュアルに目を通し、専門知識や資源を提供してくださった以下の方々に感謝いたします。

 • Sharyn Beddington, 親

• ドクター Louise Berry, ブルックリン学区教育長、教育長協会

・Jeffrey M. Factor, MD, コネチカット大学医学部小児科准臨床教授、コネチカット喘

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息・アレルギーセンター所長

• Heidi Gianquinto, 親、食物・ラテックスアレルギー啓発グループ(Food & Latex Allergy Awareness Group)

• James P. Rosen, MD, FAAAAI, FAAP コネチカット大学医学部小児科准教授、食物アレルギー・アナフィラキシーネットワーク医療諮問委員会委員、コネチカット喘息・アレルギーセンター

•Rosemary Szot, 親

•Lisa Waldron, 親

以下の団体は、快く資料(オリジナルのマニュアルに記載されています)を提供してくださいました。

・食物アレルギー・アナフィラキシーネットワーク(Food Allergy and Anaphylaxis Network)

・マサチューセッツ州教育省

SDE の 2020 年改訂版「コネチカット州の学校における生命を脅かす食物アレルギーの管理に関する指針」(糖原病の管理に関する指針を含む) の詳細については、下記にご連絡ください。

Stephanie G. Knutson, Ed.D, MSN, RN

Education Consultant

Connecticut State Department of Education

Bureau of Health/Nutrition, Family Services and Adult Education

450 Columbus Blvd., Suite 504

Hartford, CT 06103

860-807-2108 stephanie.knutson@ct.gov。



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指針の概要

コネチカット州の学校で生命を脅かす食物アレルギーを管理するための指針(糖原病を管理するための指針を含む)には、次の6章があります。

• 第1章 生命を脅かす食物アレルギーおよび糖原病を患う生徒の管理に関する学校関係者のための教育および訓練(カートリッジ式注射器による投薬および生命を脅かす食物アレルギー反応への対応手続きに関連した訓練を含む )。

• 第2章 生命を脅かす食物アレルギーおよび糖原病を患う生徒に対する個別の保健管理および行動計画の策定プロセス。これには学校看護師、または学校看護師が承認した学校職員が、日中学校の敷地内で糖原病の生徒に食物または栄養補助食品を提供することが含まれる。

・第3章 食物アレルゲンへに接触することを防ぐための手順(protocols)

• 第4章 生命を脅かす食物アレルギーまたは糖原病の生徒を特定および評価するための 訓練

• 第5章 随時改正されている1973年リハビリテーション法の第504条に基づく保護と適応に準拠した手順。これも随時改正されている障害のある個人法(the Individuals with Disabilities Education Act,)、20USC1400以降。 および米国障害者法、42USC12101以降。


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学校教育プログラムで共通に使用される略語と慣用句(Acronyms and Abbreviations

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・APRN:公認上級看護師(advanced practice registered nurse)

・CDC :米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)

・C.G.S.:コネチカット州一般法令(Connecticut General Statutes)

・CSDE :コネチカット州教育省( Connecticut State Department of Education)

・DPH :コネチカット州公衆衛生局(Connecticut Department of Public Health)

・DSS :コネチカット州社会福祉局(Connecticut Department of Social Services)

・FDA : 食品医薬品局(Food and Drug Administration)

・FERPA : 家族教育権およびプライバシー法(Family Educational Rights and Privacy Act)

・GSD:糖原病(Glycogen Storage Disease)。

・IHCP :個別保健管理計画(individualized health care plan)

・LEA:地方教育機関(local educational agency)

・OCR :公民権局(Office of Civil Rights)

・PPT:計画立案・配置チーム(planning and placement team)

・RD:管理栄養士(registered dietitian)

・RDA :推奨栄養接収量(Recommended Dietary Allowance)

・SEA :州教育機関(state education agency)

・Section 504 :1973年リハビリテーション法第504条(Section 504 of the Rehabilitation Act of 1973)

・USDA :米国農務省(United States Department of Agriculture)

・USDOE ;米国教育省(United States Department of Education)

・UDDOJ :米国司法省 (United States Department of Justice)


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第1章 学校関係者(school personnel)の教育と訓練

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第1章では、生命を脅かす食物アレルギーおよび糖原病を有する生徒の管理に関する学校関係者の教育および訓練に関する情報を提供します。カートリッジ注射器による投薬に関する訓練および生命を脅かす食物アレルギー反応への対応手続きも含んでいます。本章は以下のように構成されています。

・食物アレルギーとは何か?

・アナフィラキシーとは何か?

・アナフィラキシーの症状

・アナフィラキシーの治療とエピネフリンの使用

・自動注射器(an auto-injector)使用方法

・生命を脅かす食物アレルギー反応への対応手続き

・糖原病とは?

・糖原病の原因

・糖原病の症状

・董源病の治療法


食物アレルギーとは何か?

食物アレルギーとは身体が誤って有害と認識した食物に対して免疫系が過剰に反応することです。免疫系はある特定の食品が有害であると判断すると、その食品に対する特異的な抗体を産生します。次にその食品を食べたとき、免疫系は体を守るためにヒスタミンを含む化学物質を中~大量に放出します。これらの化学物質は呼吸器系、消化管、皮膚および循環器系に影響を及ぼすアレルギー症状の連鎖を引き起こします。

人によっては、症状が1つの身体システムだけに現れることもあれば、複数のシステムで症状が現れることもあります。これらの症状は軽度から重度まであり、個人および接触の種類によっては、生命を脅かすこともあります。食物アレルギーの治療法はなく、アレルギー反応を防ぐには回避することが唯一の方法です。

果物、野菜、肉などあらゆる食品に対して生命を脅かすアレルギーを起こす可能性があり

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ますが、アレルギー反応の大部分は以下の8つの食物によって引き起こされると言われています。

  1.落花生

  2.木の実(クルミ、カシュー、ペカン、ヘーゼルナッツ、アーモンドなど)

  3.牛乳

  4.卵

  5.魚

  6.貝類(Shellfish)

  7.大豆

  8.小麦

しかし、どのような食物でも重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があることを覚えておくことが重要です。


ピーナッツと木の実は一般的に最も重篤なアレルギー反応を引き起こし、致死的および致死寸前の反応の大部分はこれらの食品によるものです。ピーナッツ、木の実、魚、貝類に対するアレルギーはしばしば生涯続くと考えられています。

食物アレルゲンの摂取はアレルギー反応につながる主な接触経路です。感作状態になった(sensitized)(訳注③) 人は、ごく微量の食品であっても摂取することで、場合によっては、迅速な介入なしに致命的な反応を引き起こす可能性があります。触覚(タッチ)による接触や吸入による接触でもアレルギー反応を起こす可能性はありますが、重度または生命を脅かす反応に至る可能性は極めて低いことが研究により示されています。それでも、生命を脅かす食物アレルギーを持つ生徒がアレルゲンに触れた後、指を目、鼻、口に当てた場合、その接触は摂取となり、アナフィラキシーを引き起こす可能性があります。アレルギー反応を引き起こすのに必要な食品の量は複数の変数に左右される場合があります。各個人の感受性のレベルは、時間とともに変動することがあります。症状の種類や程度は、個人の特定の食物や複数の食物アレルギーを持つ人の異なる食物によって異なる場合があります。


*訳注③ https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/about_allergy.htmlによると「アレルゲンが体の中に入ると異物とみなして排除しようとする免疫機能がはたらき、「IgE抗体」という物質が作られ、この状態を「感作」といいます」

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アナフィラキシーとは?

アナフィラキシーはアレルギーを持つ人がアレルゲンに接触した後に起こる、生命を脅かす可能性のある医学的状態です。アレルギーを持つ人は過剰に反応する免疫システムを持ち、食事や環境中の無害な要素を標的としています。食物に対するアレルギー反応では、免疫系が特定の食物タンパク質を標的として特定します。これにより、免疫系の細胞内で一連のイベントが開始され、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターが放出されます。これらの化学伝達物質は皮膚、呼吸器系、胃腸管、循環器系の組織で炎症反応を引き起こします。炎症症状が広範囲かつ全身に及ぶ場合、その反応は「アナフィラキシー」と呼ばれ、生命を脅かす可能性のある事象となります。アナフィラキシーは体内の複数のシステムに影響を及ぼす症状の集合体を指します。

アナフィラキシーは皮膚や粘膜に異常がなくても起こることがあります。致命的なアナフィラキシーは呼吸器症状や腹痛、吐き気、嘔吐などの消化器症状を呈する生徒に多くみられます。致命的な反応は多くの場合、アナフィラキシーの初期症状が喘息や軽い消化器系の病気と間違われ、エピネフリン自動注射器による治療が遅れたことが原因となっています。

食物アレルギーを持つ生徒で喘息持ちの場合、喘息が軽度であり統制されていても、致命的なアナフィラキシーを起こすことが多くあります。また、アナフィラキシーの既往歴がある生徒や、過去の食物反応に呼吸困難や喉の腫れ、締めつけなどの呼吸器症状が含まれている生徒も、重度または致命的なアナフィラキシーの危険性が高くなります。

アナフィラキシーは、摂取後1〜2時間で発症することもありますが、特徴的には接触後数分以内に起こる即時型の反応なのです。アナフィラキシーの初期症状の後、2~4時間後、場合によってはそれ以上、症状の第二波が続くことがあります。このような初期症状と後期症状の組み合わせは二相性反応と定義されています。初期症状は通常エピネフリン自動注射器に反応しますが、遅発性反応はエピネフリン自動注射器やアナフィラキシーに使用される他の治療法にあまり反応しない場合があります。

アナフィラキシーを起こした生徒は初期症状が治まった後、最低4〜6時間は病院の救急外来で観察し、二相性反応の兆候や症状がないかを監視する必要があります。二相性の反応が出た場合は、直ちに集中治療を行うことができます。

食物によるアナフィラキシーの危険性がある生徒にとって、学校での最も重要な管理戦略は予防です。アナフィラキシー反応が起こった場合、エピネフリン自動注射器が治療法として

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選択され、すぐに投与されるべきです。症状が治まらない場合は、2回目のエピネフリン自動注射が必要なこともあります。アナフィラキシーを経験した人の3分の1が、病院に行くまでの間、反応を抑えるために2回目の(エピネフリン)注射を必要とする場合があるという報告があります(http://www.epipen.com)。

研究(米国疾病管理予防センター, 2013)によると、致命的なアナフィラキシー反応やそれに近い反応は、エピネフリン自動注射器を使用しないことやエピネフリン治療の使用を遅らせることに関連することがあるそうです。疑わしい場合は、エピネフリン自動注射器で投与し、救急医療システムに電話して救急車を呼んだ方がよいでしょう。エピネフリン投与を控えた場合、死亡事故が発生しやすくなります。

食物アレルギーは低年齢層に多くみられます。すべての食物アレルギー反応は生命を脅かす事象に発展する可能性を持っています。喘息または喘息の既往歴、アナフィラキシーの既往歴、ピーナッツ、木の実、貝類のアレルギー、消化器症状または呼吸器症状の発現、エピネフリン自動注射器の投与の遅れまたは失敗など、いくつかの要因が重篤または致命的なアナフィラキシー反応の危険性を高める可能性があります。

食物によるアナフィラキシーは、その重症度と発症の早さから、アナフィラキシー症状の早期発見、エピネフリン自動注射器の即時投与、救急医療システムによる最寄りの病院への迅速な搬送を含む効果的な緊急時対応計画の必要性が強調されます。


訳注 症状一覧表は後日に掲載

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アナフィラキシーの治療とエピネフリンの使用について

食物アレルギーの反応やアナフィラキシーを予防する治療法は存在しません。食物アレルゲンを厳格に回避することが反応を防ぐ唯一の方法です。しかし、回避は必ずしも容易ではなく、また可能でもないため、学校職員はアナフィラキシーを含むアレルギー反応に対処できるよう準備しておく必要があります。アナフィラキシーにつながる可能性のあるアレルギー反応を早期かつ迅速に認識し、治療することで、深刻な健康被害や死亡を防ぐことができます。

アナフィラキシーの治療の第一線として推奨されるのは、エピネフリンの迅速な使用です。アナフィラキシーを治療するためにエピネフリンを早期に使用することで、生存率と早期回復の可能性を高めることができます。

エピネフリンはアドレナリンとも呼ばれ、体内で自然に生成されます。注射で投与すると、急速に呼吸を改善し、心拍数を増加させ、顔、唇、および喉の腫れを軽減します。エピネフリンは、通常、自動注射器の形で入手できます。これは測定された量のエピネフリンを投与するために使用されるバネ式の注射器で、患者による自己投与、または他の針を用いた,

エピネフリン投与に慣れていない人による投与のために設計されています。

ピネフリンはすぐに症状を改善することができますが、効果は長くは続きません。症状が再発した場合(二相性反応)、エピネフリンの追加投与が必要です。エピネフリンを使用した場合でも、911やその他の救急医療サービス(EMS)を呼び、救急車両で最寄りの病院の救急診療科に迅速に搬送し、さらなる治療と経過観察を行うことが必要です。

食物によるアレルギー反応の治療にエピネフリンを使用する時期について、一つの指針を設定することはできません...[しかしながら、学校職員は]次のような訓練を受けることができます。アレルギー反応またはアナフィラキシーの症状を認識し、アレルギー反応の最初の兆候、特に子どもの呼吸が変化した場合に委任されて自動注射器によるエピネフリン投与を行うこと。子どもが治療と観察を受けるために最も近い病院の救急部門に救急車で遅れることなく輸送されているかどうか確認すること。これらの行動により、アレルギー反応が生命を脅かすアナフィラキシーに至らない場合でも、エピネフリンを投与し、緊急対応システムを作動させること。

エピネフリン投与の遅れや失敗、医療措置の欠如は、食物アレルギーによる多くの致命的なアナフィラキシー症例に寄与しています。未治療のアナフィラキシーによる死亡危険性はこのような場合エピネフリンを使用することによる副作用の危険を上回ります」(CDC. (2013). V学校および早期ケア・教育プログラムにおける食物アレルギー管理のための自主指針(Voluntary Guideline)

(CDC - Page Not Found

https://www.cdc.gov/healthyschools/foodallergies/pdf/13_243135_A_Food_Allergy_Web_508.pdf) pp.20-21)。


自動注射器の使用方法


以下の資料は、自動注射器の投与方法に関する貴重な情報と実演を提供しています。

 ・食物アレルギー研究・教育(FARE)。エピネフリンオプションと研修。Epinephrine Options and Training - FoodAllergy.org から2019 年 7 月 19 日に取得。

 ・エピペン®の使用方法ビデオ。2019年7月19日に以下から以下から取得。

 ・How to Use an EpiPen® (epinephrine injection, USP) Auto-Injector

 ・マイラン エピペン®の使用方法。2019年7月19日に以下から取得

・https://www.epipen.com/-/media/files/epipen/how to use epi penautoinjector.pdf

- 全米学校看護師協会. (2015). 以下のエピネ自動注射器を投与するために学校職員の研修を準備しよう! から2019年7月19日に取得。

・Trainer Preparation - National Association of School Nurses (nasn.org)


生命を脅かす食物アレルギー反応への対応手続き


生命を脅かす食物アレルギー反応に対応する際、学校職員が効果的・効率的に対応できるよう、以下の緊急時対応手続きを整備しておく必要があります。

「緊急時の備え」

・生徒専用の医療機関指示の必要性

 ・生徒生別緊急時ケア計画の重要性

・緊急時の薬の保管、入手、投与

・生徒用以外のエピネフリン自動注射器の手順

・ 地域の救急手順(例:応答時間、エピネフリン手順)

・学校閉鎖を含む学校の緊急事態および/または災害のための手順

・すべての食物アレルギーおよびアナフィラキシー事象後の事後報告会」(NASN, 2018)


上記の章は以下の資料、ウェブサイト、文書から一部引用しています。

・Voluntary Guidelines for Managing Food Allergies In Schools and Early Care and Education Programs (学校および早期ケア・教育プログラムにおける食物アレルギー管理のための自主指針)。米国疾病対策予防センター(CDC)。2013.

・食物アレルギー・アナフィラキシーネットワーク(Homepage - FoodAllergy.org). 許可を得て抜粋し、印刷したものです。

・学校における生命を脅かす食物アレルギーの管理、2002年。マサチューセッツ州教育省。Managing Life Threatening Food Allergies in Schools からの抜粋は、マサチューセッツ州教育省の許可により掲載されています。マサチューセッツ州の指針定期的に改訂されることがあります。

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糖原病とは?

糖原病(GSD)は肝臓に異常な量または種類のグリコーゲンが貯蔵される遺伝性の疾患です。この異常な蓄積は肝臓がグリコーゲンとグルコースの代謝を適切に調節できないことに起因します。「糖原病は糖(グルコース)を貯蔵形態(グリコーゲン)に変換したり、グリコーゲンからグルコースを放出することを調節する酵素(体内で作られるタンパク質)が欠損することで発症します」(Cincinnati Children's2015) 。

「食物には多くの糖質(ブドウ糖を含む)が含まれており、体内でエネルギー源として利用されています。食後は血糖値が上昇します。体はすぐに必要としない余分なグルコースをグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えます。その後、体内の血糖値が下がり始めると身体はこの貯蔵されたエネルギーを使用します。グリコーゲンの形で貯蔵されたこれらの糖質はその機能を発揮する前に体内の酵素で処理される必要があります。処理に必要な酵素が不足すると、グリコーゲンまたはその関連デンプンの1つが蓄積し、問題を引き起こす可能性があります」(Cincinnati Children's, 2015)。

「GSDは少なくとも10種類あり、欠損している酵素によってグループに分けられています。約2万人に1人が糖原病に罹患していると言われています。最も一般的なGSDはI型、III型、IV型です。

GSDⅠ(フォン・ギアケ病)は、グルコース-6-ホスファターゼ(Glucose-6-Phosphatase)という酵素の欠損に起因します(Cincinnati Children's, 2015)。GSDの中で最も一般的なタイプであり、その影響は幼少期のごく早い時期に明らかになります。GSD IはGSD全体の約25%を占めます。」(American Liver Foundation, 2019)。

GSD III(コリ病)では、デブランチャーと呼ばれる酵素が欠損しているため、体内で異常な構造を持つグリコーゲン分子が形成されます。この異常な構造はグリコーゲンがグルコースに分解されるのを阻害します。

GSD IV(アミロペクチノーシス)では、組織に蓄積されたグリコーゲンが非常に長い外枝を持っています。これは枝分かれ酵素の遺伝的欠損によるものです。この異常なグリコーゲンが免疫系を刺激すると考えられています。その結果、肝臓だけでなく、筋肉や心臓など他の臓器にも多大な瘢痕化(肝硬変)が起こります(Cincinnati Children's, 2015)。


糖原病の原因

(GSD)は、体内でグリコーゲンを作ったり分解したりする役割を担う酵素の1つがない、

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または欠乏している場合に起こります。これは酵素欠乏症として知られています(糖原病協会、2019年)。


糖原蔵病の症状について

「GSDの症状は欠損している酵素によって異なります。それらは通常、グリコーゲンの蓄積や、必要なときにグルコースを生成できないことから生じます。GSDは主に筋肉と肝臓で発症するため、これらの部位に最も顕著な症状が現れます。GSDの症状には以下のようなものがあります。

・成長障害(growth failure)

・筋肉のけいれん

・低血糖

・肝臓の肥大

・ お腹の腫れ、そして

・血液検査の異常(Cincinnati Children's, 2015)。

症状が始まる年齢や症状の重さはGSDのタイプによって異なります。GSDⅠの生徒は肝硬変(肝臓疾患)を発症することはほとんどありませんが、肝腫瘍を発症する危険性は高くなります。GSD III はある意味で GSD I よりも軽症です。また、肝不全を起こすことは非常に稀ですが、線維化(傷害、感染、炎症に対する治癒反応によって生じる肝臓の初期の瘢痕化)を起こすことがあります。

GSDⅡは筋肉の病気であり、肝臓には影響を与えません。GSDⅣは肝硬変を引き起こし、心臓や筋肉の機能障害を引き起こすこともあります。多くの場合、GSD IVで生まれた乳児は生後1年以内に肝臓の肥大と成長不全と診断され、3~5歳までに肝硬変を発症します」(Cincinnati Children's, 2015)。

糖原病の治療法

GSDの治療はGSDの種類によって異なります。治療が不可能な種類もあれば、症状を抑えることで治療が可能な種類もあります。治療可能な種類のGSDでは、患者は特別な食事療法を注意深く行う必要があります。

・日中に高炭水化物の食事を頻繁に摂ること。生徒によっては、糖分やでんぷんを多く

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含む少量の食事を毎日数回食べることで、血糖値が下がるのを防ぐことができる。

・コーンスターチ。2歳以上の幼い子どもの中には、4~6時間おきに(夜間も含む)加熱していないコーンスターチを与えることで、問題が緩和される場合がある。

・継続的な経管栄養。適切な血糖値を維持するために、高濃度のグルコースを含む溶液を胃腸管から供給する必要がある場合があります。若年層では、年齢が上がるまで、夜間にこの治療法を行わなければならないこともある。昼間は栄養チューブを外すこともありますが、3時間おきくらいに糖分やでんぷん質の多い食物を食べなければなりません。この治療法はほとんどの症状を回復させるこができる。

・薬物治療 GSDは尿酸(老廃物)がたまりやすく、痛風(gout)関節に痛みを伴う炎症)や腎臓結石(kidney stones)の原因となる。

・ 薬物治療が必要な場合が多い(Cincinnati Children's, 2015)。


参考資料

*アメリカ肝臓財団(American Liver Foundation)。2019年4月23日、https://liverfoundation.org/for-patients/about-the-liver/diseases-of-the-liver/type-i-glycogen-storage-disease/ から取得。

*糖原病協会(Association for Glycogen Storage Disease)。2019年4月23日にWhat is Glycogen Storage Disease? | Association for Glycogen Storage Disease (agsdus.org)

*米国疾病管理予防センター(CDC)。学校における食物アレルギー。20197年7月 19 日に取得。Food Allergies | Healthy Schools | CDC

*CDC. (2013). 学校および早期ケア・教育プログラムにおける食物アレルギー管理のための自主的指針。ワシントンDC: 米国保健福祉省(Department of Health and Human Services)

https://www.cdc.gov/healthyschools/foodallergies/pdf/13_243135_A_Food_Allergy_Web_508.pdf.

*シンシナティの子どもたち(Cincinnati Children's). (2015). 糖原病(GSD). 2019 年 10 月 4 日に取得  https://www.cincinnatichildrens.org/health/g/gsd 

*全米学校看護師協会(NASN, 2018). 食物アレルギーとアナフィラキシー:学区の方針と手順の策定サンプルチェックリスト。2019 年 8 月 1 日に取得

Sample Food Allergy Management Checklists (higherlogicdownload.s3.amazonaws.com)pdf 

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第2章–食物アレルギーとGSDの管理計画


生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDのある生徒は学校にいる間に保健と安全のニーズがどのように満たされるかを検討するために、個別の保健計画(IHCP)と行動計画(緊急医療計画[ECP]など)を用意する必要があります。本章では、IHCPと行動計画、および食物アレルギーとGSDの学区全体の管理計画に学校が使用する可能性のあるプロセスに関する情報を提供します。また本章には学校の日中に学校の敷地内にいるGSDの生徒への、学校看護師または学校看護師によって承認された学校職員による食物または栄養補助食品の提供も含まれます。この章では次の項目について説明します。

•救急医療計画(ECP)

•個別保健計画(IHCP)

•食物アレルギーとGSDの学区全体の管理計画の作成過程

• チーム構成員

•計画に含める項目

•学区の計画と手順の有効性の監視

•学校職員による食物または栄養補助食の提供

o障害のある生徒のための代用食

o健康診断書(Medical statement requirements)の要件

o栄養情報

o特別食に関する資源

o食物安全


緊急処置計画(ECP)

生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDの生徒のためのECPは、アレルギー行動計画またはGSD行動計画と呼ばれることもあります。 ECPはアレルゲンへの偶発的な接触、低血糖症、または安全上の緊急事態(避難訓練や閉鎖など)などの医療緊急事態で何をすべきかについて、生徒の診断に適した特定の指示を提供します。 ECPは多くの場合IHCPの一部です。この書面による計画は、学校の看護師、学校職員、緊急時対応要員が緊急事態に迅速、安全、かつ個別に対応するのに役立ちます。 ECPには次のものが含まれます。

•生徒の名前およびその他の識別情報(生年月日、学年、写真など)。

•疾患または障害に固有の情報(特定のアレルゲンなど)。

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•副作用の兆候と症状(アレルゲンへの偶発的な接触や低血糖反応など)。

•救急薬の場所と保管(アナフィラキシー用のエピペン[エピネフリン自動注射器]や低血糖用のグルカゴンなど)。

•誰が薬を投与するか(自己投与の選択肢を含む)。

•フォローアップ計画(エピペンまたはグルカゴンの投与後に911に電話するなど)。

•親/保護者および医療提供者(medical providers)の緊急連絡先。

ECPを作成するために、学校看護師は以下の過程を踏なければなりません。

・家族および生徒の保健ケア提供者(health care providers)から、生徒の緊急時対応策やすべての投薬指示を含む最新の健康情報を入手する。

・必要に応じて保健ケア提供者と相談し、緊急時の医療手順や投薬指示を明確にする。


個別の保健計画(Individualized Health Care Plan:IHCP)

ECPの作成に加えて、生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDの生徒もIHCPが必要です。 IHCPは通常、特別な健康上のニーズがある生徒、または健康上のニーズが毎日の介入を必要とする生徒ために作成します。これらの計画は、学校の環境で個々の子どもの毎日の健康と安全のニーズを満たす方法を説明するものです。 IHCPには次のものが含まれます。

•機能的な健康問題(看護診断)。

•自己ケアと年齢に応じた自立を促進するための生徒の目標(期待される成果)。

•必要に応じて、保護者、学校看護師、教師、生徒、学校管理職、またはその他の学校職員の責任。

IHCPは、通常の学校教育活動(the normal school day)中と学校教育活動の前後において生徒のニーズに対応する必要があります。この情報は生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDの生徒に責任を持つすべての学校職員に配布されなければなりません。生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDの生徒のIHCPに含まれるべき考慮事項は以下のようになります。

•教室環境(アレルギーのある生徒のために教室にアレルギーのない場所を設定する、又はGSDの生徒が教室で必要なときに食事や栄養補助食物を摂取できるようにするなど)。

•アレルギーのないテーブルや区域を含む学校食堂の安全性。

•学校の栄養計画への参加。

•軽食、誕生日、その他のお祝い。

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食物の報酬とインセンティブの代替案。

• 手洗い;

•救急薬の場所。

•昼食時と休憩時間中の危険性管理。

•教室での行事(食品やアレルゲン製品を含む可能性のある科学活動など)。

•教室での仕事(魚の餌付け、机の洗浄など)。

•特別な行事(文化プログラム、科学プログラムなど)。

•遠足、避難訓練(fire drills)、封鎖(lockdowns)。

•職員の教育と訓練。

•学校で救急および日常的なケアを提供する人、つまり、救急薬の投与または食提供(feeding)(注:GSDの場合、親/保護者は、必要に応じて胃瘻チューブによる食提供のために自分以外の誰かを指名することができる[セクション10-を参照] 212c(a)(1)(D)]);

・代理職員の通知と訓練(看護師、教師、専門家、教生(student teachers)、学校食堂職員、スクールバス運転手、その他適切な職員を含む)。

・学校への交通手段

・放課後プログラムへの移行

・運動会と課外活動(extracurricular

・学区の保護者通知書の個別修正(必要な場合)。

・親・教員組織(Parent/Teacher Or)ganization)又はPTAが主催する生徒のための行事(健康的な募金活動や報酬としての食物に代わるものに関する CSDE の資料については、参考資料および資源一覧を参照のこと);および

・学区内における学年移行と校舎間移行(transitions between grade levels and school buildings in the district)

その他、生徒のために考慮すべきことは以下の通りです。

・スポーツチームのバスでの移動

・生物実験室(biology labs)

・オープンキャンパスや自習時間の延長

・自動販売機の選択肢

・料理プログラム

IHCPには、看護評価の要約も含まれます。IHCPは介入を文書にし、結果を評価するために使用されるものです。IHCPの見直しは以下のように行われるべきです。

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・少なくとも年1回、親/保護者、および適切な場合には生徒を含む学校チームと行うこと。

・生徒のECP、自己モニタリング、能力レベル、自己ケア能力、学校環境に変化があっ た場合、または計画の調整(adjustment)が必要な場合は、より頻繁に行うこと。

・緊急薬物(エピペンやグルカゴンなど)の投与を伴う各緊急事態の後には、一連の対応過程の有効性、事故が起きた理由、うまくいったことといかなかったこと、関係者などを判断するために総括的な評価を行うこと。

食物アレルギーおよび GSD に関する学区全体の管理計画の策定過程

食物アレルギーやGSDの管理計画の策定や改訂過程は最終成果物である計画と同じくらい重要です。学区全体での実施には、学校、家族、医療従事者、地域社会から適切な代表者を集めたチームアプローチが必要です。したがって、医学的に適切で研究に基づいた介入策と、地域のニーズや生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒の特別な保健管理のニーズに基づいた最善の実践(practices)に基づいた合意形成が必要になります。

CSDEとDPHは、食物アレルギーやGSDに関する地区全体の管理計画について、安全、予防、教育、認識、コミュニケーション、緊急対応に重点を置くことを推奨しています。管理計画は生命を脅かす食物アレルギーやGSDを持つ個々の生徒の教育、健康、社会的正常性、安全のニーズと、すべての生徒の教育、保健、安全のニーズとの間で均衡を取る必要があります。食物アレルギーやGSDの管理計画は学校レベルで実施され、学区内の全学校で一貫して提供される手続き指針を作成するための基礎となるべきものです。食物アレルギーまたはGSDに関する学区全体の管理計画の目標は以下の通りです。

 ・生命を脅かす食物アレルギーやGSDを持つ生徒の健康を維持し、安全を守るために、医学的に正確で発達段階に適した方法で、自己防衛と自己ケアの能力を促進し、適切な教育機会を提供すること。

・ 生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒に対する介入、行動計画、IHCPが、医学的に正確で、発達段階に適した情報および証拠に基づく実践に基づくことを保証すること。

・生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒を特定し、管理し、すべての移行期(プレ幼稚園(PK)から12年生まで)においてケアの継続性を確保するための正式な過程を定義すること。

学区の方針または手続きには、生命を脅かす食物アレルギーまたは GSD を持つ生徒のための IHCP および行動計画を策定するための正式な過程が含まれている必要があります。

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この過程には以下が含まれることになります。

 ・IHCPと行動計画の策定のための標準書式(template)。

・IHCPと行動計画の作成に関与すべきチームメンバーの推奨事項。

・生徒の医療提供者と保護者から、医療情報および投薬の適切な許可を得る過程。

・IHCPと行動計画の中で、その他の配慮を行う過程(例えば、アレルギーを持つ生徒のための食堂のアレルゲンフリーゾーンや、GSDの生徒への教室での食事や栄養補助食の提供(必要な場合)等)。

・計画策定のための中核チームの特定。このチームでは、養護教諭が主導的な役割を果たすべきである。チームには学校看護師のほかに、少なくとも、親/保護者またはその他の家族、学校の管理者、学級担任、および生徒(適切な場合)が含まれる。その他、学校の医療アドバイザー、学校の保健クリニック職員、生徒の医療機関、調理師、学校の食サービスマネージャーなど、学校職員が望ましい。

・学校看護師と親が協力し、発達や年齢に応じた対応を検討し、中核チーム会議で検討する。

・IHCPを完成させるためのチームメンバーによる会議。医療関係者は学校環境で必要な便宜を図るための推奨事項を提供できるが、生徒のニーズと学校環境に基づいた推奨事項を策定するのは中核チームの責任となっている。

・生徒にとって適切な計画の種類(IHCPや504条計画など)を決定する。生徒が第504条の資格要件を満たしていないとチームが判断した場合でも、そのIHCPは第504条計画と同一と見なされることがある。

・生徒の健康状態に基づいて、健康情報を見直し、更新する最低の頻度を決定する。

・各主要チームメンバーの役割と責任を明確にします。チームメンバー全員の意見が聞けるようにする。

 注:チームメンバーの推奨役割と責任については、付録Cを参照のこと。

チームメンバー

生命を脅かす食物アレルギーまたは GSD の管理計画の立案、実施、監視、見直し、改訂のプ過程に関与する地区全体のチームには、以下が含まれます。

・学校長または被指名者

・校長または被指名者

・学校看護師監督者または学校看護師

・学校医療アドバイザー

・教師代表者

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親/保護者代表

・その他の家族

・生徒代表

・その他の学校職員(例:学校心理士、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、第504条コーディネーターなど)

・学校給食(school food service)の責任者または代表者

・コーチ

・交通コーディネーター

・管理職員の監督者

・地域の医療提供者(例:小児科医、APRN、登録栄養士、栄養または健康コンサルタント、地域のEMSの代表者)。

・国および地域の専門家

学区計画の構成要素

効果的な計画は簡潔で、生命を脅かすアレルギーやGSDを持つ生徒のケアに関する学区の包括的な目標を提供するものでなければなりません。この地区計画には以下が含まれます。

・計画の根拠

・計画および予防に対する取り組み

・協力の過程

・IHCPおよび緊急事態(アナフィラキシーや低血糖など)に対する行動計画を特定し、策定するための正式な過程

・教育および訓練に関する規定。

・個人、学校、地域社会のニーズとの均衡

・通常の発達を促進すること(fostering normal development)

学区の計画と手続きの有効性の監視(monitoring)

学区の計画と手続きの過程と実施の効果について、定期的な評価を行わなければなりません。

・少なくとも年1回、学区チームと行うこと

・投薬に関わる緊急事態の後、プロセスの有効性、そのような事態が起きた理由

・学区の計画と手続きで何が有効で何が有効でなかったのかの判断

・計画と手続きの年次見直しに、医学的に正確で、、研究に基づく実践を含めること。

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学校職員による食または栄養補助食の提供

障害のある生徒のための代替食(meal substitutions)

学校栄養プログラムは、身体的または精神的な障害により食事が制限されている生徒のための食事の変更に関するUSDAの要件に従わなければなりません。学校で実施されている学校栄養プログラムには、全国学校給食プログラム(NSLP)、学校朝食プログラム(SBP)、NSLPの放課後軽食プログラム(ASP)、NSLPのシームレスサマーオプション(SSO)、特別牛乳プログラム(SMP)、新鮮果物・野菜プログラム(FFVP)、児童・成人ケア食プログラム(CACFP)、放課後のアトリスク食事と軽食(snack)プログラム(At-risk after-school meal and snack programs)、夏季食事サービスプログラム(SFSP)等があります。これらのプログラムの詳細はCSDEの学校栄養プログラム(School Nutrition Programs)のウェブサイトをご覧ください。

USDAの無差別規則(7 CFR 15b)および学校栄養プログラムに関する規則(7 CFR 210.10(m)および7 CFR 220.8(m))では、学校栄養プログラムは、障害により食事が制限されている生徒に対して、医学的権威者がその必要性を証明した場合、ケースバイケースで妥当な変更を行う必要があることを定めています。食事内容の変更(meal modifications)は、その子の障害または障害による制限に関連していなければならず、州法に基づき医療処方を書く権限を持つ州公認の医療専門家による医学的説明が必要となります。

 ・合理的な変更(reasonable modification)とは、障害のある生徒がプログラムに参加したり、プログラムから利益を得たりする機会が均等に得られるよう、障害に配慮した方針、実践、手順の変更または改変のことである。一般的な指針として、障害のある生徒は障害のない生徒と同じプログラムに参加し、利益を得ることができなければならない。

 ・公認医療機関と(recognized medical authority)は、州法に基づき医療処方を書くことを許可され、DPHが認めた国家資格の医療専門家のことです。DPHは公認医療機関を、医師、医師助手、整骨治療(osteopathy)医師、および看護プラクティショナー や臨床看護専門家(clinical nurse specialists) といった公認上級看護師やAPRNとして認定されている有資格看護麻酔師(certified nurse anesthetists)と定義してい

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健康診断書(medical statement)の要件

米国農務省は当該の子どもの健康診断書に以下を含めることを義務付けています。

・当該の子どもの身体的または精神的障害(impairment)について、それがどのように子どもの食事を制限しているかを学校の給食担当者が理解するのに十分な情報。

・当該の子どもの障害に対応するために、何をしなければならないかの説明。

・適切な場合、除去される食物と推奨される代替食。

子どもの IEP または 504 計画にこの情報が含まれている場合、あるいは IEP または 504 計画の策定または見直しの際に学校がこの情報を入手した場合は、個別の医学的説明書は必要ありません。チームアプローチを用いることで、学校は IEP または 504 計画にUSDA の医学的説明書の要件を満たすために必要な情報が含まれていることを確認することができます。

米国農務省は変更された食事が米国農務省のミールパターンに合致している場合、診断書を要求してはいません。例えば、食感だけを変えた食事(例:刻んだり、挽いたり、ピューレにしたもの)、同じミールパターンの食材を代用した食事(例:バナナをイチゴに、チキンをチーズに代用したもの)などです。しかし、CSDEは親/保護者、医療関係者、学校関係者の間で、その生徒に適した食事内容を明確に伝えるために健康診断書を取得することを推奨しています。CSDEの診断書は、CSDEのウェブサイト「Documents/Forms」の「Special Diets in School Nutrition Programs」から入手可能となっています。

一般的には、学校看護師が率先して診断書を入手し ます。しかし、学校は食事内容の変更を担当する学校給食職員と該当するすべての生徒の医療情報を確実に共有するために、効果的なコミュニケーション過程を確立しておく必要があります。生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒が学校栄養プログラムに参加できるようにするためには、学校給食職員との協力が不可欠なのです。生徒の主治医(student’s physician)からの必要な書類により、学校給食職員は生徒に安全で適切な食事を提供することができます。


栄養(nutrition)に関する情報

可能な限り学校給食職員(school food service staff)は親に食物ラベルを提供し、子どもが学校給食で選択できる食物を特定し、承認できるようにすべきです。米国農務省は学校給食で提供される食物の栄養情報を提供することを食事内容の合理的変更の構成要素とみなしています。学校給食プログラムは学校給食の栄養情報を生徒、家族、学校看護師、その他必要に応じて提供する責任があります。例えば、学校給食プログラムは、学校のメニューや学校給食のウェブサイトで栄養情報を提供し、親/保護者が閲覧できる栄養表示のバ

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インダーを学校食堂または学区給食事務所に置いておくことができます。これにより、家族は医療専門家と相談しながら、子どもの特定の食事に関する懸念に適した食事を決定することができます。

注:学校給食プログラムは必ずしもすべての食事について栄養情報を提供する必要はありません。特定の食事ニーズ(食物アレルギーなど)のためにサイクルメニューを開発し、その計画されたサイクルメニューにある食物の栄養情報を提供することが合理的調整(reasonable accommodation)となりえます。

米国農務省の無差別規定(7 CFR 15b)および学校栄養プログラムに関する規定(7 CFR 210.10(m)および7 CFR 220.8(m))では、身体的または精神的障害により食事が制限されている子どもに対して、公認の医療関係者が署名した診断書に基づき、食事の内容を合理的に変更することを義務づけています。この要件はリハビリテーション法第504条、障害のあるアメリカ人法(ADA)およびADA修正法、IDEA、USDA無差別規定を含む連邦規則のいずれかに基づく障害の定義に身体または精神障害が該当するすべての子どもに適用されます。


特別食に関する資料

CSDEの手引き「学校栄養プログラムにおける特別食の調整(Accommodating Special Diets in School Nutrition Programs)」には、連邦法およびUSDAの規則に基づいて、USDAの学校栄養プログラムにおける食事の変更に関する要件について包括的な情報が記載されています。この手引き、診断書、その他の資料は、CSDEのウェブサイト「Special Diets in School Nutrition Programs」から入手可能です。

食物の安全性

DPHの食物保護プログラムは、州の食物安全に関する規制を管理しています。食物保護プログラムの全体的な使命は、汚染された食物からの合理的な保護と食物施設の衛生状態の改善により食中毒のリスクを低減することです。これは、規制の施行、訓練と教育、技術相談、特別調査、食物安全の推進によって達成されます。食物安全とDPH食物保護プログラムに関する情報は、DPHの食物保護プログラム(Food Protect Program)のウェブサイトをご覧ください。

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第3章 食物アレルゲンとの接触を防ぐための手順


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生命を脅かす食物アレルギーを持つ生徒のための計画に関する以下の問題は学区全体に関わるものです。本省の目的は問題を説明し、学区で成功した手順や実践に基づく対処方法を提案し、さらに詳しい情報を提供することです。本省の構成は以下のようになっています。

・特定の食物の禁止

・適切な食事場所

・服薬管理

・食物アレルゲンとの接触を防ぐための手順

・コミュニケーション計画

特定の食物の禁止

学区は、生命にかかわる食物アレルギーを持つ生徒のニーズに対応するため、食物アレルギー ー管理計画を実施しなければなりません。学校全体で特定の食品を禁止しても、アレルギーの原因となる食物が不用意に校内に入らないようにする方法がないため、学校環境が安全になるとは限りません。禁止令は誤った安心感を与え、効果的な管理戦略、教育および緊急時の対応に責任を持てなくなる可能性があります。

問題のある食物を禁止することは、生命を脅かす食物アレルギーを持つ生徒のために適切な計画を立て、それに従ってすべての学校関係者を教育するという学校の責任を失わせることになります。また、アレルギーを持つ生徒がいつでもアレルゲンと接触する可能性のある環境において、自己管理を教える機会も制限されるかもしれません。さらに、禁止措置は制限を定義する点で問題がある場合があります。例えば、学校がピーナッツを禁止する場合、他の生徒に影響を与える可能性のあるすべてのアレルゲン、例えば、ナッツ、牛乳、卵、魚、貝、大豆、小麦その他の食物も禁止するのでしょうか?学区は、時間をかけてすべての生徒のニーズに最も合う計画を立て、幼稚園前 から 12 学年までの間に自己管理と擁護(advocacy)ができるように準備する方法を検討する必要があります。

学校の方針/取り組みには以下が含まれます。

・アレルゲンのない区域設定:各教室、食堂のアレルゲンフのないテーブルや区域、図書館や音楽室などの食品禁止区域など。適切な計画を決定する際には、生徒や家族のプライバシーに関する個々のニーズや好みを考慮する必要がある。すべての生徒または家族が日中アレルゲンのない区域を必要としたり、利用したりするわけではない。

・スクールバスでの食事禁止など関連する学校方針の実施。

注:学校が普遍的な食物禁止を実施することを選択した場合、特定のアレルゲンが学校内に存在してはなりません。なぜなら、家族はその禁止事項があればこそ、学校が自分の子どもにとって安全な場所であると考えるからです。これには、登校の前後も入れて敷地内で行われるすべてのプログラムが含まれます。

適切な食事場所

1973 年リハビリテーション法第 504 条、IDEA、ADA 第 II 章、第 III 章を含む連邦公民権法は、学校と施設が食事を含 む非学習サービスを提供するにあたり、障害のある生徒が障害のない生徒とともに、最大限、適切 に参加できるようにしなければならないことを定めています。これにより、生徒は自分とは異なる背景を持つ他の生徒と交流し、そこから学ぶことができるのです。

しかし、状況によっては、特定の特別なニーズを持つ生徒を別のテーブルに座らせることが適切な場 合もあります。たとえば、食事を摂るのに介助者の大きな手助けが必要な生徒の場合、食事中にその生徒と介助者に広いスペースが必要なことがあります。

また、重度の食物アレルギーを持つ生徒にはより隔離された別の食卓が最適であると学校が判断する場合もあります。独立した食事場所は以下の通りです。

・食物安全指針に従って清掃された食堂内の指定テーブル(テーブルや座席に付着したアレルゲンの交叉汚染(cross contamination)の可能性を排除するため)、または

・食堂から離れた場所で、生徒が安全に食事できる場所。

特別な座席配置をする前に、学校は子どもの家族と公認の医療関係者の意見を聞きながら、この種の座席配置が本当にその子どもに役立つかどうかを判断する必要があります。学校が特別な座席を用意する場合、食物アレルギーを持つ子どもに有害な食物を持ち込まない限り、他の生徒がその子どもに加わることを許可する必要があります。

注:学校は、単に便宜上、障害のある生徒を通常の食事サービスから隔離することはできません。また、非行による処罰を受けている生徒を同時に別のテーブルで隔離することは適切ではありません。どのような場合でも、障害のある生徒に別の食事を与えるかどうかは、常に、その生徒のニーズを満たすために何が適切であるかということに基づいて決定されなければならないのです。

投薬管理(medication Administration)

投薬の問題は、投薬の実施を規制する学区の方針と行政手続きの中で対処するのが最善となります。

手順/実施

・緊急時の薬の保管: コネチカット州当局の規則第 10-212a-5 条 (b) は、自己投与が承認された薬を除くすべての薬を、「薬の保管専用に使用する鍵付き容器、キャビネット、クローゼットに保管すること」と定めている。 生徒の緊急時ケア計画で特に決められている場合を除き、「緊急時の薬は、学校看護師、または学校看護師が不在の場合は校長、または投薬の訓練を受けた校長指名者の全体監督のもと、学校時間中は保健室で鍵をかけず、明確にラベル付けした、すぐにアクセスできるキャビネットや容器に保管するものとする。緊急薬は、生徒の緊急時ケア計画で特に決められている場合を除き、通常の学校日またはプログラムの時間外に鍵をかけること」とある。したがって、緊急時の迅速な救命措置を促進するため、アナフィラキシー用のエピペンや低血糖用のグルカゴンなどの緊急用医薬品は日中、鍵をかけてはならない。生徒や権限のない職員がアクセスできる状態であってはならないが、看護師や権限を持ち訓練された職員が適切に監督できる、安全でアクセスしやすく、合理的で、安全な場所に保管する必要がある。この規則では、緊急用医薬品を課業前後(before- and after-school )のプログラムと共有することも認められているが、親/保護者は校内活動や学校間活動で使用できるように、緊急用医薬品を余分に用意することが義務づけられている。複数の学校間で緊急用医薬品を共有する場合は、責任ある計画を立てる必要がある。

 ・緊急用医薬品の場所:緊急用医薬品の場所については、生徒の安全を第一に考慮する必要があります。場所と安全性に関して、責任ある合理的な決定をするために考慮すべきことは以下の通り。

o 薬の取り扱いと保管に関する一般的な安全基準

o 生徒の発達段階

o 生徒の能力(competence)

o 校舎の広さ

o 校舎内に常勤の学校看護師がいるかどうか

o 校舎内または校庭にいる学校関係者(教師、助手(paraprofessionals)など)と学校看護師との間の通信機器の有無

o 保健室から教室までのス学校看護師の対応時間

o 教師の希望(preferences)とその他の責任

o 生徒と親/保護者の希望

o 校舎内での生徒の移動

その上で、学区は緊急時服薬の支援を必要とする生徒のIHCPと緊急時ケア計画(ECP)を作成する際に、上記の項目の中から最も安全で適切なものを優先的に選び、決定する必要があります。生徒が自己投薬の指示と計画を持っている場合の緊急時投薬の場所については、後述します。

・「薬の自己投与」(:C.G.S. Section 10-212a3(d)(3) では、学校における食物アレルギーに関する教育法が改正された。この法律では、医学的に生命を脅かすと診断されたアレルギー体質の生徒が、親/保護者の書面による承認と資格を有する医療専門家の書面による命令があれば、深刻な被害や死から守るために(1)薬の所持、(2)自己投与、(3)所持と自己投与、が可能になった。コネチカット州当局規則第10-212a-4項は、教育委員会は、慢性的な病状が確認され、救助用喘息吸入器や医学的に診断されたアレルギー用カートリッジ注射器を含む処方された緊急薬を自己投与する能力があるとみなされた生徒に対し、当該薬の自己投与を許可しなければならず、以下の手順が整っていれば制御薬(controlled drugs)(コネチカット州当局規則第10-212a-1に定義)以外のその他の薬を当該生徒に投与することも許可できることを定めている。

o 正規の処方者が自己投与に関する勧告を含む投薬指示書を提供する。

o 親/保護者または有資格の生徒が自己投与の許可を書面で提出する。

o 学校看護師が生徒の学校での自己投与の能力を以下のように評価し、安全かつ適切であると判断した。

1. サイズ、色、量、またはその他のラベルの識別により、適切な薬を識別し選択することができる。

2. 投薬を指示された回数と時間帯がわかる。

3. 投薬を必要とする症状を特定することができる。

4. 投薬を適切に行うことができる。

5. 薬を所持している場合、常に安全に管理する。

6. 必要であればいつでも大人の監督を求める。

7. 決められた投薬計画に協力する。

8. 喘息用吸入器および医学的に診断されたアレルギー用カートリッジ注射器の場合、生徒が喘息用吸入器および医学的に診断されたアレルギー用カートリッジ注射器で学校内で自己投与する能力に関する学校看護師の審査は、生徒が喘息用吸入器および医学的に診断されたアレルギー用カートリッジ注射器を保持し自己投与することを阻止するために用いない。

重要注:生徒は認可された処方者の書面による承認と、生徒の親/保護者または資格のある生徒の書面による承認があれば、喘息用の吸入器と医学的に診断されたアレルギー用のカートリッジ注射器で自己投与することができます(コネチカット州機関規則第10-212a-4条)。

o 学校看護師が投薬命令と親/保護者の許可を確認し、全般的な監督に関する規定を含む自己投薬の適切な計画を立て、生徒または参加者の健康記録に投薬計画を文書化する。

o 校長と適切な職員に、生徒が処方された薬を自己投与していることを知らせる。

o 薬を所持している場合、その薬は生徒が学校に運び、教育委員会の生徒の自己投薬に関する方針と生徒の個別計画に従って、生徒の管理下で保管される。

コネチカット州機関規則のセクション10-212a-1に定義される管理薬物の自己投与は、海外遠征などの特別な状況において考慮されることがありますが、事前に学校看護師監督者と学校医療アドバイザーによる承認を受け、適切な計画を立てるものとします。

食物アレルゲンとの接触を防ぐための手順

各学区は学区全体の予防手順または対策を検討する必要があります。これらの問題が学区全体で取り組まれていない場合は、適切であれば、これらの手順または対策をIHCPおよび行動計画に組み入れることができます。手順や対策には以下が含まれます。

・効果的な衛生管理および清掃方法の確立。例えば、使い捨てのペーパータオルや食物タンパク(food proteins)を効果的に除去することが知られている洗浄剤を使って、給食テーブルや教室の表面をきれいにする。

・奨される石鹸と水、または石鹸と水がない場合は手拭いを使って、食後の手洗いの習慣を促進し、二次感染を予防する。手指消毒剤は食物アレルゲンや汚れを除去する効果はない。

・事やおやつの交換、生徒間での食器の交換、通学中の食事の禁止など、生徒間の安全な習慣を徹底させる。

・アレルゲンとの接触を減らすために、教室、給食テーブル、食堂区域など、アレルゲンのない区域ゾーンのための選択肢。

・食べ物のない共有スペース(図書館、音楽室、美術室など)の選択肢。

・学校看護師や教師への警告と代理職員の配置に関する一般的な慣行を開発する。

・食物アレルギーやGSDの有害症状(アナフィラキシーや低血糖症など)の認識と行動計画について訓練を受けた学校職員による食堂や校内での監視。

・学校でのお祝い事(誕生日、学校でのパーティー、祝日の行事など)のための計画。

・学校の緊急事態(火災訓練や戸締まりなど)のための計画。これには、薬の入手、GSDの生徒のための食事や栄養補助食の入手、食物アレルギーのある生徒のためのアレルギー除去食への配慮が必要である。

・使用後のエピネフリン自動注射器や経管栄養の管の廃棄について、労働安全衛生局(OSHA)および「普遍的予防策指針(をUniversal Precautions Guidelines )を遵守すること。

コミュニケーション計画

コミュニケーションは効果的な学区計画の実施に不可欠なものです。学校関係者(学校看護師、学校給食職員、教師、管理職など)、家族、生徒の医療提供者の間のコミュニケーションとプライバシーに関する問題について、以下のような期待事項を明確にします。

・生徒の医療提供者から、生命を脅かすアレルギーと GSD に関する文書を入手する。これには、薬の適切な承認と緊急対応手順が含まれる。

・個々の生徒の予防と管理計画について、生徒の医療関係者や親/保護者との連絡方法を決める。

 ・学校内(トランシーバーなど)、校外での活動(交通機関や遠足での携帯電話やラジオなど)のコミュニケーションシステムを確立する。

・学校とすべての保護者間のコミュニケーション過程(アレルゲン教室に関する標準的な保護者通知書を含む)を決定する。

・適切な人(教師、準職員、給食職員、管理人、バス運転手、代理職員など)がIHCPと行動計画を熟知していることを保証する手順を確立すること、および

・学校給食に適切な変更を加える目的で、生徒の医療情報をすべて共有するための学校看護師と学校給食職員間のコミュニケーション過程を決定する。


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第4章  生命を脅かす食物アレルギーまたは糖原病を持つ生徒の特定と評価のための訓練


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本章は生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDに関して、学校職員、親/保護者、生徒、および地域のパートナーに提供される可能性のある研修および教育に関する情報を含んでいます。各学区は、生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDに関する教育および訓練に対する地域のニーズに基づいて質問に回答する必要があります。質問には以下が含まれます。

・なぜこの教育を行うのか、誰が実施するのか。

・この教育は学校単位または学区単位で実施されるか。

・これらの教育機会には誰が参加するのか。

・伝えるべき重要なメッセージは何か。

・この教育はどれくらいの頻度で行うか。 

学校看護師

学校看護師は学校環境における重度の食物アレルギーおよびGSDに関連する臨床的な知識と技能を更新する必要があるかもしれません。これには以下のような情報が含まれます。

 ・アレルギー

・GSDの種類と関連する管理戦略

・IHCP

・緊急時の行動計画

・交通機関の計画と問題

・通常の教育(regular education)における調整(accommodation)

・504 条の要件および学区の適切な方針と手続き

・家族との協力

・ケア計画と行動計画の立案における正常な発達の意味(implications of normal development) 。

学校関係者

学校看護師は、生徒、生命を脅かす食物アレルギーやGSDを持つ生徒の親/保護者、学校医療アドバイザーと協力し、学級担任、代替教員(substitutes,)、学校管理者、給食職員、管理人、バス運転手、コーチ、その他学校プログラム前後の活動を実施する現場の担当者などの関係者に教育を行う必要があります。この教育には以下が含まれます。

・生命を脅かす食物アレルギーの概要

・GSDの概要

・予防戦略

・IHCP

・緊急時の行動計画

・薬物治療研修(適切な場合)。

・食物の安全性

・衛生管理

・具体的な調整(specific accommodations)

・職員の役割と責任(付録C参照)。

学校看護師は、学校の管理部門と協力して、生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒の親/保護者に教育を提供することができます。この教育には以下が含まれます。

・一般的な情報(アナフィラキシー、低血糖など)。

・学校での投薬に関する方針、手順、手続き

・生命を脅かす食物アレルギーまたは GSD を管理するための学校計画の策定に関連する学校の方針、手順、手続き。

学校と地域のパートナー

学校看護師は学校の管理職、学校の医療アドバイザー、生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒の保護者と協力して、学校と地域のパートナー(生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持たない生徒の保護者、医療従事者、保護者ボランティアなど)に教育を行うことができます。この教育には以下が含まれます

・ 生命を脅かす食物アレルギーの概要。

・GSDの概要

・一般的な用語(アナフィラキシー、低血糖症、エピネフリン、グリコーゲンなど)。

・予防策

・学校の方針と手続き

生徒

学校看護師は学校管理者および疾患別教育者と協力して、生命を脅かす食物アレルギーまたはGSDを持つ生徒とその同級生に教育を提供することができます。自己ケアにおける自己主張と能力を促進する戦略は、しばしば生命を脅かす食物アレルギーをもつ生徒のIHCPおよび行動計画に組み込まれ、家族および学校職員が各発達段階における生徒の適切な責任を定義できるよう協力することが含まれます。これには、学食での食事の選択、生命を脅かす食物アレルギーおよび低血糖症に関する仲間への教育、および自己ケアを学習し発達させるために生徒が責任を負う必要性との関連で、安全のための適切な手順を決定することが含まれます。生徒への教育内容は以下の通りです。

・生命を脅かす食物アレルギーの概要

・GSDの概要

・一般的な用語(アナフィラキシー、低血糖症、エピネフリン、グリコーゲンなど)

・ 食物交換の禁止やアレルゲンフリーゾーンなど、予防策に関する学校の方針

・いじめやからかい(teasing)に.関する学校の方針 



嶺井正也の教育情報

日本やイタリア、国際機関の公教育政策に関するデータ、資料などを紹介する。インクルーシブ教育、公立学校選択制、OECDのPISA、教育インターナショナルなどがトピックになる

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