2024.09.03 08:26 二冊の本の第一印象アントネット・ムーラ『イタリアのフルインクルーシブ教育 障害児の学校を無くした教育の歴史・課題・理念』(明石書店、2022年)とガート・ビースタ『教育にこだわるということ 学校と社会をつなぎ直す』(東京大学出版会、2021年)の二冊をざっと目を通した印象を記しておきたい。良書を深く読み込んだ上での感想でしかない事を、あらかじめ断っておきたい。まず最初の本。主題の「フルインクルーシブ教育」の「フル」という形容詞はイタリアでほとんど見かけない。この点について違和感を覚えたが、副題に「障害児の学校を無くした」とあることについて、あきれてしまった。以前、アメーバブログにも書いたが、イタリアには特別学校が現存するからである。その証拠の一つがミラノのある「ラリッ...