ポルトガル:インクルーシブ教育への歩み(法制度)

https://www.european-agency.org/country-information/portugal/legislation-and-policy

(EU特別ニーズ・インクルーシブ教育機構の各国プロフィールの資料を翻訳。ポルトガルの法令体系が不明のため、decreet-lawは「政令」と訳している。以下は嶺井の仮訳である。

https://www.cerciag.pt/servicos/centro-recursos-inclusao


1986年10月14日の法律第46号によると、特別教育は身体的あるいは知的障害に伴う特別教育ニーズを持つ個人の社会的、教育的な回復と統合をすすめるための特定の種類の教育である。

 教育方策として主流の学校制度にSENの生徒を受け入れていることは、障害者の予防とリハビリテーションおよび統合に関する法律第9号(1989年5月2日制定)で規定されている。

 1990年1月25日の政令第35号は身体的または知的障害に起因するSENの学習者は義務教育を受ける義務を規定している。 

1991年8月23日の政令第319号は、主流の学校が障害のある学習者または学習障害のある学習者の問題に対してより大きな責任を負うことを求めた。 また、SEN(「すべての人のための学校」)の生徒に学校を解放し、子どもの教育指導における保護者の役割をより明確に示した。 さらに、SENの生徒の教育は、可能な限り制限の少ない環境で実施する必要があるという原則に従って、一連の対策を提供した。

 2008年1月7日の政令第3号は、州立、私立及び協同組合立の初等前教育、義務教育そして中等教育で提供される専門的支援を明記した。 その目的は、1つまたは複数の分野での活動と参加に大きな制限がある生徒のニーズを満たすように教育プロセスを調整する条件を作成することである。 これらのニーズは永続的な機能的および構造的問題から生じている可能性があり、その結果、コミュニケーション、学習、移動、自律性、対人関係、および社会的参画が依然として困難になりえるからである。

 

2006年1月31日の政令第46号によって、教師配置申請システムの手順を明確にし、初めて特別教育担当教員の枠組みを作成した。また 2003年2月27日の政令第35号を廃止した。


 2009年8月27日の法律第85号は、学齢期の子どもと若者の義務教育を確立し、5歳以上の子どもに初等前教育への普遍的な権利を保証している。 2006年8月28日の法律第46号は障害と深刻な健康リスクに関する差別を非合法化し、罰則を設けている。 2018年7月6日の政令第54号は特別教育ニーズの「カテゴリー」を含む学習の分類システムを放棄している。 同政令はこのように教育制度から診断または臨床ラベルに基づく分離と差別、および特別ニーズを持つ学習者のための特別な立法の枠組みを取り除くものである。 この政令は学習者のすべてを対象としている。 この新たな法令に示した原則の

実行には以下のことが求められる。 

  •対話と協力のためのより多くの時間とスペース。 

  •学習者の参加の増加。 ・親と家族のより多くの関与。

   ・多次元での介入。 ・柔軟なカリキュラム管理。

 ・人と環境の相互作用の焦点化 ・モニタリングと評価。


 主流の学校は支援技術に対する生徒のニーズを評価する情報通信技術リソースセンターの全国ネットワークと、93のインクルージョンリソースセンター(RCI)によって支援されている。 以前は特別学校であったRCIは主流の学校とのパートナーシップを通じて専門的な支援を提供している。 2008年以降の特別学校のRCIへの転換は、障害者の権利に関する国連条約の第24条を実施するための不可欠な手段になった。 教育省はRCIの全国的な適用範囲を拡大する認定プロセスを導入した。    

    

嶺井正也の教育情報

日本やイタリア、国際機関の公教育政策に関するデータ、資料などを紹介する。インクルーシブ教育、公立学校選択制、OECDのPISA、教育インターナショナルなどがトピックになる

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