イタリアの個別教育計画に関する指針 その2

新しい個別教育計画に関する指針その2:イタリア


さまざまな形の協働につながる「教育共同体」のすべての構成員の積極的な参加は、特定のスキルとそれぞれの役割常に尊重しなければならない。

実際、インクルージョンのための運営ワーキンググループ(GLO)への生徒の親の参加や中等教育第Ⅱ段階の学校(高校のこと:訳者注)の生徒の参加の実現は民主的な進歩の要素である。

 EPIの初めにの部分が、親(または親的責任を行使する人)または専門家が提供する情報専用の「情報掲示板」で始まるのは偶然ではない。 学校と家庭の緊密な協力関係を考慮する、生徒の生活に関する情報を取得することが不可欠である。

実際、家庭で観察される行動が学校で観察される行動と異なることは珍しくない。これは、生徒の「担当」で採用されるアプローチが異なっていることが原因である場合がある。 このため 学校と家族が「互いに話し合い」、情報、視点、責任の仕方、問題のある行動を管理するための戦略、そしてまた家族からの同意があれば、治療や専門家によるアプローチに関して情報連絡を、介入を調整する方法で交換することは非常に望ましい。

この協働の精神に基づけば、この分野の教師の固有の権限を損なうことなく、生徒/学生の優先的利益のために教授・訓育的な目的を共有することも可能になる。 そうでなければ、他の生徒の扱いとの間のに違いが生れ、正当化されない。

特に評価に関して基本的な基準は 依然として1992年の法律104号第16条(学業と試験の評価)であり、次の点を設定している。

1.教師による障害のある生徒の評価では、個別教育計画に基づいて、次のことを記すこと。

   a)特定基準が適用される教科[およびそれらが何であるか]。

   b)いくつかの教科のプログラム内容を部分的に置き換える際の補足および支援活動。

2.義務教育では第1項で規定する認知要素に基づき、学習内容に対応し、生徒の潜在能力および初

期の学習レベルに関し生徒の進捗状況を評価するのに適した試験が準備される。

3.中等学校では障害のある生徒の場合、筆記試験またはグラフィック試験の実施に際し、同等の

試験だけでなく時間の延長および自立活動とコミュニケーションのための支援者の配置が認めら

れる。<中略>

また、専門の個別指導サービスの提案に基づき、障害の種類に関連する特定の技術的手段(すな

わち補償手段)の使用と、同等のテストを実施する可能性の両方が認められる。

したがって、要約すると:

 1)評価は教師が行う。

 2)もしも、PEI(生徒の長所だけでなく、短所、そして最後に、人格の発達と学習を妨げるまたは有利にする可能性のある状況条件も示されている)に基づいて、個別化と規準を採用する教科を記す。

3)評価の指針となる原則は「潜在力および初期の学習レベルに関する生徒の進歩」である。

 4)補償器具および同等のテストが認められる。

第1・2項はとくに重要であり、評価方法は教師の権限に任されること、PEIに基づき評価が個別化される教科が示されること、およびその理由と方法が「明示的」であることを明示している。

2019年の委任立法令第6号で修正されている2017年の委任立法令第66号の第7条第2項d1号は、PEIは「教育支援の方法、検証方法、評価基準、[...] 個別計画に関連する評価を明示する」と実際に規定している。「明示する」とは「明確にする」という意味であり、教育的共同責任の協定の中で「定義する」とか「修正する」というものではない。

立法趣旨は、公平性の原則を損なうことなく、評価は形成的でなければならないが、自己言及的であってはならないことを明確に示し点にあった。

実際に「PEIは個別の教育ニーズの満足度のために学校全体が行う教育的共同責任的対応に基き、教授・訓育目的だけでなく、人間関係、社会化、コミュニケーション、相互作用、進路、自立活動それぞれの領域の学習を進めるための手立て・戦略・方法を明確に示す」(第c号)ものである。

嶺井正也の教育情報

日本やイタリア、国際機関の公教育政策に関するデータ、資料などを紹介する。インクルーシブ教育、公立学校選択制、OECDのPISA、教育インターナショナルなどがトピックになる

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