学校への入学

イタリア糖原病協会2022年報より                                   

       **前回の記事を少し修正した

ファブリツィオの母、タチアナ・バーニとのお話


幼児学校(scuola infanzia:日本の幼稚園と違い長時間保育あり)に入るということは、すべての子どもにとって自立と社会化に向けた重要な一歩です。それは多くの場合、家族との最初の別れを意味します。 多くの子どもたちにとって、これはつらい別れ。 最善の方法でそれに対処するには、たとえ母親の目に子どもが弱くて無防備に見えたとしても、子どもの能力を信じることが重要です。 私たちは、糖原病 1B を患う 7 歳の男の子、ファブリツィオ君の母親、タチアナさんにこのことについて話を聞きました。


問 「ファブリツィオは小さい頃、保育園(nido)に通っていましたか?」
答 「いいえ、2歳まで彼には乳母がいて、彼の面倒を見てくれました。しかし、その後、入院して糖原病1Bの診断を受けた後、私の面倒をみることにしました。ですから、母親学校(scuola maternal: 日本の幼稚園)の入学初日は大変でした。」

問「ファブリツィオが?」

答「彼にとってはそうではありませんでした…しかし、私にとってはそれは大変でした。 私はとても怖かったです。」


問「どのような恐怖?」
答「食事制限(キャンディ、お菓子、お菓子、果物、牛乳、チーズがない)やコーンスターチとメレンデの3時間ごとの摂取という義務のせいで、自分が他の子と違うと感じるのではないかという恐怖です。しかし、何よりも、私がいないと彼が低血糖症に陥るのではないかということを恐れていました。」


問「でも、学校で食べさせることにしたのですか?」
答「はい、彼の人生が友だちの人生と同じであると考えたからです。」


問「その食事はどうしているのですか?」
答「私は、ファブリツィオのニーズにあった特別メニューが作ってもらうよう、学校の食堂を管理する会社の栄養士と病院の栄養士の間の調整役を務めました。」
 

訳者注:イタリアでは学校食堂の民間委託がすすんでいるようだ。


問「ファブリツィオは、自分の昼食が友だちの昼食と違うのを見て文句を言ったことはありますか?」

答「文句は言わないけど、たまたま彼が友だちのと違うと私に言いました。」


問「それを聞いて、あなたはどう行動しましたか?」
答「友だちが学校で食べていたものを、適切な注意を払いながら自宅で作ってみようとしました。」


問「子どもたちはそれぞれ独自のリズムを持っており、学校が始まると、これまで経験したことのない状況を経験することになります。 学校体験はどうですか?」
答「良いです。 彼は変化に簡単に適応し、学校の速いペースにも自分の食習慣を合わせられています。」


問「子どもたちはそれぞれ独自のリズムを持っており、学校が始まると、これまで経験したことのない状況を経験することになります。 学校体験はどうですか?」
答「良いです。 彼は変化に簡単に適応し、学校の速いペースにも自分の食習慣を合わせられています。」
                                <続く>
問「食べ物で困ったことはありますか?」
答「学校ではありません。ファブリツィオは4歳のとき、少し難しい時期があった。しかし、数ヵ月後、私たちの忍耐と励ましで、彼は自発的に食事をするようになりました。」


問「学校で低血糖を起こしたことは?」
答「いいえ、幸いにも!」


問「学校での受け入れはどうでしたか?」
答「とても怖かったです。私ひとりではどうにもならないこともよくわかっていました。AIGが介入してくれたおかげで、在校中の糖原病管理のための最善の解決策を見つけるため自治体のソーシャルワーカー、校長、教師たちが協力してくれることになりまた。食事時間には、ファブリツィオとクラスをサポートし、必要な時には助けてくれる人が配置されるようになりました。ファブリツィオの受け入れは、関係者全員の配慮と協力のおかげでとてもスムーズだったと思います。」


問「クラスメートとの仲はどうでしたか?」
答「ファブリツィオは穏やかな子で、クラスにとてもよく溶け込んでいますした。 クラスメートの母親たちも彼のニーズを理解しており、彼にいつもと違うと感じさせないように、パーティーではお菓子やポップコーンの代わりにフォカッチャやピザを好んでいました。」


問「幼児学校から小学校への移行はどうでしたか?」
答「予期せぬことが起こるかもしれないという懸念から、小学校では食事時間でのサポートを求められました。しかし、ファブリツィオは自律に向けてかなり進歩がみられるので、彼はすぐに自己管理できるようになるだろうと私は信じています。」


問「あなたは自分の子どもさんを信頼していますか?」
答「はい!  最近彼は私の食事の支度を手伝ってくれるようになりました。食事とコーンスターチのせいのようです。」


問「彼は家に帰って、学校で何をしているのか話しますか?」
答「いつも、とてもよく話してくれます。」


問「彼は自分の感情を表現しますか?」
答「はい、彼はとても感受性の強い子です。」


問「それで、お父さんとはどんな具合ですか?」
答「糖原病に関係なく、素晴らしく挑戦的!でしょうか」

 *訳者注:残念ながら この会話のニュアンスをつかむことができない。



問「来年子どもを学校に行かせる予定の母親に何を助言がありますか?」
答「あなたの懸念を息子や先生に伝えないでください。子どもたちは居場所を見つけることができます。 魔法の杖は必要ありませんが、多くの組織と他人への信頼が必要です。信頼があってこそ、人は責任を負うことができるからです。」



                                

嶺井正也の教育情報

日本やイタリア、国際機関の公教育政策に関するデータ、資料などを紹介する。インクルーシブ教育、公立学校選択制、OECDのPISA、教育インターナショナルなどがトピックになる

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